アンネの追憶
シネ・リーブル神戸で上映中のアンネの追憶。
彼女の親友ハネリ・ホスラーの証言をまとめた「もうひとつの『アンネの日記』」を基に、
強制収容所に送られたアンネのたどった過酷な運命が、一家の中でただ一人生き残った父オットーの回想でつづられた映画です。
「アンネの日記」は、ゲシュタポによって隠れ家から連れ出されるまでの記録なので、その後を映像化したものとしては初めてのものではないでしょうか。
強制収容所へ送られてからのアンネの行動は、アンネだったらこうしたであろう、という想像に基づいて作られているかと思われますが、
(最初の収容所までは父・オットー氏も行動を共にしたため)
アンネの、書くことへの情熱や常に前向きな希望と想像力、
追いつめられて迫った母への取引、それに対する母のどこまでも愛情溢れる対応、
彼女らを匿った秘書の勇気。
人間であるからこその光り輝く部分と
歪んだ欲望、人を完全に物扱いにできる残酷さや麻痺した感情、
その間で揺れ動く心など、暗く潜む影の部分が強烈に対比した映画でした。
オットー氏の回想ということもあり、アンネの幼い頃から次々と分かりやすくストーリーは展開し、
その中での歴史的事実を背景とした「あなたは良心に従って生きているか」という問いかけ、
「人は人を傷つけてはいけない。そうすれば日々穏やかに眠れる」というラストの言葉に
深く胸打たれる映画でした。
昔、オランダで訪れたアンネの隠れ家。
寒い冬の平日でも、訪れる方々の列ができていました。
今も、たくさんの方が訪れているでしょうか。
忘れないで欲しい、そう思います。
by matocacafe
| 2012-05-23 15:50
| 日々のこと