想像以上の素晴らしさでした。
まず目を奪われるのは、背景画の美しさです。
登場人物たちよりもちょっとリアルに表されている自然の光や事象がとても美しく、それだけで気持ちが癒されます。
日本では絶滅したと思われている日本狼に、自らの意思で変身?できる「おおかみおとこ」と恋に落ち、二人のこどもを授かり育てていく設定はファンタジーなのですが、でも、現実も同じなのだと気付かせてくれます。
個性的でないこどもなどいないのではないでしょうか。
狼に変化自在な雨と雪。常にその事実が露見する危険と隣り合わせで、
自由に伸び伸びと生きられない都会での生活を離れ、
「狼でも人間でも自由に選べるように」
人里離れた自然の中へ居を移し、生活のため自給自足に挑戦する母、花。
自分自身の強い考えと意思、というよりは、
人を、状況をどこまでも受け入れ自らが変化してゆく強さをもつ花。
幼い頃に、人と違うからといって個性の芽をつまれず、
受け止められてその存在を大切な人から肯定されて育ち、
見事に自分の生きる道を自ら選び取ってゆくまでにたくましく成長するこどもたち。
子どもを生かして育てるとはこういうことなんだな・・・って本当に涙が出ました。
子どもの頃十分に、誰と比較されることなく大事な命として受け止められ
肯定されて育ったこどもは、比較的早いうちに精神的に親から自立できるのではないか。
親の仕事とは、なんて土台を作る大地のようなのだろう、と思いました。
「時をかける少女」「サマーウォーズ」に続くスタッフのキャストも素晴らしく、
すぐにもう一度見たくなった映画でした。
特に子役の雪の声、笑い声はとっても可愛くて、聞いているだけで楽しくなってきます。
なにげないシーンであまりにも所々泣いてしまい、映画館を出るのが恥ずかしかったです(^^;)
毎度、非常に個人的な感想でした。